日が沈む頃 私達は 外に出てみた。


ホテルの前の ビーチを散歩していると


「明日の飛行機 大丈夫かな?」

とすれ違う人の声が 耳に飛び込んで来た。


私達は ハッとして 顔を見合わせる。


「台風?」

「いや、こっちには 来ないはずだけど?」

「ニュース見てみようか?」

「そうだな…」


慌てて 部屋に戻って テレビを点け

圭介は せっかちに チャンネルを変える。


「天気予報 やってないかな。」

「7時のニュースまで 待ったら?」

「スマホ見てみるか。」


圭介の指は スマホの上を滑る。


「ヤバいぞ!台風 進路を変えたって。」

「えっ?こっちに来るの?全然 天気良いのに…?」


「そうだよな。これじゃ 大丈夫だよな…」

「まさか 飛行機が飛ばないほどには ならないよね?」

「だと思うけど…」


私達は まだそこまで 深刻に 受け止めては いなかった。


ホテルのレストランで 食事をして

部屋に戻ると また 抱き合ったくらい。


私達は 軽く考えていた…