私と圭介は 空港で 待ち合わせていた。

先に着いた私が ロビーのベンチに 座っていると

圭介は 少し照れた顔で 私の隣に座る。


「お待たせ。」

「ううん。行く?」

「うん。良い天気で よかったな。」

「ホントね。圭介 家は 大丈夫?」

「ああ。今日から3日間 俺は 涼子だけのもの。」


子供じみた 圭介の言葉に

私は クスクス笑い。


飛行機で 出かけるなんて 本当に久しぶりで。

私は テンションが 上がってしまう。


「今日は どこを観るの?」

「着いたら 速攻で 涼子を抱く。」

「えー!沖縄まで行って?」

「ハハハ。嘘。涼子は どこを観たい?」

「うーん。美ら海水族館かな。」


「沖縄って 食べ物は美味くないんだよな。あんまり…」

「えー そう?私 ソーキソバ 好きだよ?」

「あと 豚の角煮くらいかな。」


「夕食は ホテルで食べるでしょう?」

「そうだな。ホテルでゆっくりするのも いいね。」

「うん。良いホテルだから。」


これから始まる 2人の旅行に

どんな意味が あるのか…


まだ 私は 深く考えて いなかった。


ただ 日常から 離れることに

胸を 高鳴らせていただけで。