いつもより ゆっくり起きた 夫の京一が

シャワーを浴びている間に

私は 朝食を準備する。


今日から 一週間 ボストンに出張する 京一のために

今朝は 久しぶりに 和食にしてみた。


バスルームから 出てきた京一は

食卓を見て 優しい笑顔になる。


「当分 ご飯を食べられないかも しれないから。」

京一の前に ご飯とお味噌汁を 置くと

「ありがとう。」

と京一は 頷いた。


「何時のフライト?」

「夕方だよ。病院から 直接行くからね。」

「今回も 森尾さんと一緒?」

「ああ。彼は よく気が付くから。森尾君がいないと 大変だよ。」


優秀な 脳外科医の京一は

月に何度か 地方への出張があり。

年に一度は 海外への 長い出張もあった。


「ボストンって 寒いの?着る物は 大丈夫かしら。」

「大丈夫だよ。向こうでも 買えるから。それより涼子。1人で退屈だろう。実家に帰っていたら?」

「そうね。しばらく帰ってないから。そうさせて頂こうかしら。」


京一は いつも優しいい。

優しくて 穏やかで その上 高収入で。


私は この生活に 何も不満は ないはずなのに。


毎日が 無性に 空しく感じるのは

満たされ 過ぎているから…?