ここはW学園。世界の国々から人々が集まっている学園である。

授業が終わった放課後。日本人の田中次郎(たなかじろう)は早歩きで部室へと向かっていた。

「本当は駆け出したいですが、廊下は走ってはいけませんからね……」

ホームルームが長引いてしまい、次郎は部活に遅刻していた。みんなにどんな顔をして謝ろうかと考えながら、次郎は部室へと向かう。部室は学園の端にあるためとても遠い。

「失礼します。遅れてしまい、大変申し訳ございません」

次郎が「あそ部」と書かれた紙が貼られた部室のドアを開けると、部屋の中はカオスと言うしかない状況だった。

二十畳ほどのテーブルに椅子、そしてアニメのフィギュアや漫画が並べられた棚のある部屋はまるでパーティーをしているかのようだ。

「ジョン〜!!君が負けたんだからコーヒー買って来いよ」

「はあ!?そこは紳士らしく紅茶だろ!」

アメリカ人のマイケル・ホワイトとイギリス人のジョン・ホワイトがコーヒーか紅茶かで言い合っている。