教室に戻った私を出迎えたのは生徒達の好奇の視線で、私は俯いて視線を避けながら自分の席に戻った。


「大丈夫か……？」


すぐさま木下が近寄って来て、心配そうに顔を覗き込む。


……そんなに心配するくらいなら助けてよ。


そう言いたくなるのをぐっと堪える。


木下はこの学校のふざけたカースト制度の被害者で、オメガとして虐げられることに慣れてしまっているのだ。


だから、本能的に王やアルファを恐れる。


「あのさぁ」


木下の言葉に無言を返す私に、他の生徒達が顔を見合わせて話しかけてきた。
確か彼らは入学早々にベータの上級生を倒してベータになった生徒だ。かなり話題になっていたから嫌でも覚えてしまった。


「姫川ちゃんさぁ、もしかしてもう王の女になったの？」


「結構軽い子だったんだ〜なんかショック」


私はカッと頭に血が上るのを感じたが、私が動くよりも早く木下が生徒の胸倉を掴んで叫んだ。


「何も知らねぇくせに適当なこと言ってんじゃねぇよ！姫川に謝れ！」