「あー、退屈退屈」


玲生くんは、さっきからそればかり言ってはシャーペンでノートに何かを書き込んでいた。


彼は今勉強中で机に向かって2時間が経とうとしていた。


だけど、けだるげにため息をついたりしてちゃんと勉強しているのかどうかは、あやしい。


ここは、我が大河内家のお客様専用ルーム。


2階の私の部屋からは一番遠い1階の端の部屋を玲生くんに使ってもらっていた。


その部屋は、もともとはお客様用の最低限の家具が置かれて。


シンプルなベッドとソファーとクローゼットがあるだけだったので、急遽、勉強用の机も彼のために準備した。


そして神崎家から送られてきた玲生くんの荷物が段ボール3箱。


中には衣類や勉強道具が入っているようだけど、まだほとんど整理していないみたい。


たぶん、あまり長くここにいるつもりがないから荷物は少なめなんだろうな。


私は彼から少し離れたバルコニーにあるテーブルで読書をしていた。


降りそそぐ穏やかな日差しと心地よい秋の空気を感じてウトウトしてしまいそう。


「いい天気だよな。こんな日は音葉さんと一緒にどこかへ遊びに行きたいな。遊園地とかでさ、デートしたい」