夜になって、智華ちゃんが帰ってきた。


『あの、健太さん知りませんか?』


『…え、ああ。あの人なら部屋にいると思うけど…』


『ありがとうございます。あっ、今日は健太さんと食事に行くので夕食は要りません』


『旦那と?』


『ええ。何か問題でも?』


智華ちゃんの高圧的な態度に、少し驚いた。


『ねえ、智華ちゃん。休日は一緒に食事しなくてもいいんだけど、食べないなら、もう少し早く知らせてくれるかな?』


『でも、さっき健太さんから連絡もらって、食事に誘われたんで』


え、嘘…


旦那が誘った?


『おかえり、智華ちゃん』


『あ、健太さん!すみません、遅くなりました』


『全然いいよ。こっちも急にごめんね。じゃあ、行こうか』


智華ちゃんとの無神経な会話に、私はたまらず旦那に声をかけた。


『あなた、智華ちゃんは大事な同居人よ。しかもお嫁入り前の若い娘さん。あなたは仮にも既婚者なんだから』