Side 藤光莉愛
 



……ドキドキする。


だって、爽斗くんにこう……押し倒されて、
首元にくち……びる……。


ドッドッドッド、と
心臓がけたたましい音をたてて息苦しいのに、
口もとばかり緩んでしまって……。


「……学校、行かなきゃ……」


部屋のカーテンを開けているのに、
爽斗くんが来る気配はない。


……今日はひとりで
行ったのかな。


さっきまでの少し浮かれた気持ちが
徐々に冷静になっていく。


爽斗くんはあたしとは違って
人並み程度には流行に敏感。


さっきの、
ねじ伏せるとか、首にキスしたのも
流行かなんかで、
要するに、


あらての意地悪なのかもしれない。


「……っ」


だとしても。


……嬉しかった、って
思ってるはしたない自分がいる。


なるべく顔に出さないように
学校へ向かう途中。


ポンと肩を叩かれた。


「おはよん、莉愛ちん♪」


「あ、仁胡ちゃん。おはよう」