なのに。



首元を抑えて戸惑う莉愛が、

頬を上気させる莉愛が。




こんなことしてんのに突き飛ばそうとも

抵抗のひとつも見せなかった莉愛が、



俺の罪悪感を払拭していく。




……勘違いさせんな、ばか。



体を離すと、
すぐに莉愛は起き上がって
マヌケに口をぽかんとあけて聞いてきた。



「爽斗く……なに……今の、何したの?」


「……知らない。自分で考えろ」


「えぇ……?」



困ったように眉を下げる莉愛。


お前のせいだよ。
独占欲とか支配欲とか
簡単に煽ってくる莉愛が悪い。



「もう時間だから、家戻るわ」



ベランダを抜けると、



「待って、爽斗くん……!」と、聞き心地最高の名残惜しそうな声が聞こえた。


ふっと、口角がもちあがる。



その調子。一生追いかけてきなよ。



「やだ。待たない」


「……!」



振り返ることもせず
問答無用に自室にもどってカーテンを閉めた。