SIDE 莉愛




「ねー聞いた? 2組の爽斗くん、停学だって」


「まじー!? でも爽斗くんって超気分屋だもんね。かっとしたら何するかわかんないんじゃん?」


「でもショックー! 一回機嫌よく喋ってくれたことあって好きだったのになぁ。女の子に手を上げるとかまじでやばくない?」


あの日、倒れたあたしが目を覚さないものだから、爽斗くんがその場で救急車を呼んでしまったんだ。


病院に行けば、原因を聞かれることになる。


だから先生や親が来る大騒動になってしまった。


訳を聞かれて、いの一番に答えたのは、爽斗くんだった。



『俺が莉愛を殴りました』


『どうして殴ったりしたんだ』


『……むかついたから』



優心くんのお母さんがいる手前、
あたしには庇い方がわからなかった。


優心くんと爽斗くんの狭間で、あたしは黙り込んだまま、


優心くんも、うつむいたまま、何も答えなかった。


だから、彼は……


罪を全部、ひとりで背負ってしまったんだ。



あたしたちのせいで、

いわれのない噂話が、学校中に、今も広がっていく。