藤光莉愛 SIDE





『その日が来たら、お前なんか華麗に捨ててやるよ』



そう言われてから、もう一週間以上たつというのに、今でも耳に残っているみたいに、たびたびあたしの胸を締め付ける。



『いつか、俺と離れる日を決めるのは、莉愛の方だよ』



どうして、あたしの方なんだろう。


爽斗くんに彼女ができた場合だって同じなのに。


幼馴染っていうあたしたちの関係は思ったよりずっと脆いんだって、爽斗くんに言われてやっと気づいた。



「莉愛、遅い。置いてくね」


「……、待って」


あたしの部屋を経由して玄関に出て、登校する。


そんな彼にいつか突然関係を断ち切られるんだろうか。


そうなったら、あたしは、どんなふうに生きていくんだろう。


そんなの悲しくて、想像もしたくない。


だけど、少なくとも爽斗くんにとっては、そうなったって平気で。


あたしは、彼にとってその程度の相手、ということ。


歩くスピードが、遅くなっていく。


あたしと爽斗くんの背中との、距離が開いて。


このまま、はぐれてしまっても、爽斗くんは気にもとめずに学校に行くだろう。