Side 藤光 莉愛




1年3組の教室。


緊張しながら
優心くんと一緒に入った瞬間、


——ざわって、
教室にざわめきを感じた。



たぶん、優心くんのせい。


小学生の頃、優心くんって
まるでアイドルみたいにモテモテだったんだ。


今のざわめきも、
きっとそういう声だと思う。



「お。莉愛ちゃん、また隣だ〜」


苗字が同じ「ふ」から始まるから
優心くんとは、春先によくお隣の席になる。


……なんだかほっとする。


「よかったぁ……」


思わず、目を細めてためいきをつくと


「俺の隣、嬉しいの?」


って、優心くんがいたずらっぽく笑う。


「うん」


知ってる人がいるだけで全然ちがうもん。