ドキドキで溢れた花火大会の後、
8月に入ったある日、優心くんから電話が来た。


『莉愛ちゃん、結局サヤと花火に行っちゃうんだもんなぁー』


不服そうな声が電話越しに聞こえる。


「本当にごめんね……」


『いや、いーんだけどさー。でも俺とも夏の思い出つくろーよ?』


「思い出?」


『そうだ。莉愛ちゃん、今夜は暇?』


「うん、あいているけど……」


『俺と花火しよーよ。迎え行くからさ』


「え! でも……二人で?」


『うん。この前友達と花火したんだけど、ちょっとだけ余ったから、消化するの手伝ってよ』


優心くんに頼まれてしまって、二度連続で断るのはさすがに失礼だし、あたしは承諾した。


「う……うん。あたしでよければ……」


『やったー』





そして、優心くんがあたしのマンションに迎えに来てくれたのが夜8時。


あたりはすっかり暗くなっている。


「この辺の公園や空き地は手持ち花火禁止のところばかりだけど、どこでする?」


「俺いい場所知ってるからだいじょーぶ」


街灯の下、優心くんはふわりと笑った。