Side 雪本 爽斗




あれ……このやりとりって、同じこと前にもあったな。




『お前の幸せなんて、俺が全部ぶち壊してやりたい』




莉愛をめちゃくちゃに傷つけた小6の夏まつりのあの時。


自分の抱いてる気持ち悪い感情が、莉愛への恋心だって自覚した。



***


莉愛は物心ついたころからいじめたくなる相手で、俺の舎弟みたいなもん。


絶対服従。莉愛が俺に逆らうわけがない。


そんな関係が気持ちよかった。



莉愛を見つければちょっかい出したくなって。
そうすると莉愛は泣いて、俺はそれにむかついて……。



小学生のころも莉愛は大人しくて、数少ない友達はインドア派。


なのに、あの夏祭りの日、たいして莉愛と仲良くもないクラスの中心的女子たちに誘われたんだよな。


『クラスの人たちで夏祭りに行くんだけど、莉愛ちゃんも一緒に行かない?』


莉愛は嬉しそうにはにかんで、控えめに頷いてたっけ。





その誘ってきた女子たちが、



夏祭り当日、あんなことたくらんでるとも知らずに。