遊園地デートは夢みたいだった。


でも時の流れも、夢から覚めるのも、あっという間で。



「うう……わかんない」


「今度はどこがわかんないの?」


実はテスト期間がすぐそこというところまで来ていて、放課後の教室で、優心くんに勉強を教えてもらっている。


懇切丁寧な説明ですごくわかりやすいんだけど、あたしのせいで優心くんの勉強がおろそかになってる……。



「やっぱりもういいよ。優心くんの時間がもったいないよ」


「気にしないで。俺成績そんなわるくないから」


にっこりと笑う顔をみても申し訳なさ過ぎて勉強に身が入らない……。


「それに莉愛ちゃんって結構のみこみ早いと思うよ」


「……そんな、あたしなんか」


と言ってしまってから、ハッとして口を両手で塞いだ。


「ん? どうしたの?」


「あの……。卑屈な口癖がでちゃったから。中学生の時に”あたしなんか”って言わない!って友達に散々言われてたのに……」


「なに禁止ワードつくられちゃってんの」


くすっと優心くんが笑って、頬杖をついた。

優心くんの穏やかな雰囲気ってどうしてこんなに話しやすいんだろう。



「だってあたしは根っからのネガティブだから……。なにも言わなくてもにじみ出てるみたいで、みんな嫌な気持ちになるでしょ?」



小学生のころクラスのみんなと花火大会に行こうとしたら
”お前がいると盛り下がる”って爽斗くんに言われたんだ。


そのとき、やっとそれに気づかされたっけ……。


あれから、周りを盛り下げないような自分でありたいって、思ってはいるんだけどなかなか難しい。