「あーあ、みんな起きてきちゃったね」

「えっ……あ、うん」

さっきまで話していた寧衣くんの声が、気のせいかさっきよりも低い気がして、

少しびっくりしてしまった。

『あーあ』
そんなセリフも、あの寧衣くんに似合わないなと思った。

まるで残念そうに。

普段なら、たくさんの人たちに囲まれて友達とわいわい話している方が好きそうなイメージだったから。

正直私は、もう少し寧衣くんとふたりきりでいたかったけど……なんて。

私ごときがなにをそんなわがまま思ってるんだって感じだ。

寧衣くんはみんなのものだから。

「行こっか」

先に立ち上がった寧衣くんがそう言って私に手を差し出してくれて。

遠慮がちにその手を借りて立ち上がる。

こういうことにいちいちドギマギしてしまう私も私なんだろうけど……。

寧衣くんはすごいな。
スマートにサラッとこんなことができて。

きっと、他の女の子にも今までやってきてるから、慣れているんだよね。

勝手に色々と想像してしまう自分が嫌になる。

……私ってば、寧衣くんになにを期待してるんだろうか。