「浅海、ちょっと話せない?」

「えっ、あっ……えっと、」

ケーキを食べ終わって子供たちと遊んでいると、酒井くんに声をかけられて、

とっさに寧衣くんの方に視線を向けてしまった。

「あっ、最上、ごめん、その……」

酒井くんも、寧衣くんの顔を見てそう声を出すと、

「いいよ、行っておいで」

「へっ……」

てっきり、また寧衣くんに嫌な思いをさせちゃうんじゃないかって不安だったから、その反応が意外で固まってしまう。

「……今の酒井のことは、ちょっとだけど、信用しているから」

「……っ」

「寧衣くん、ありがとうっ」

「まぁ、指一本触れようもんなら、あれだけどね」

ニッと目を細めて笑った寧衣くん。

「うん。わかってる。大丈夫だから。ほんと、ありがとう」

酒井くんが寧衣くんにそうお礼を言って、私たちは部屋から離れた縁側へと移動した。