まさか、こんな展開になるなんて。
正直、夢見心地だ。

まだ浅海さんといたい、ふたりの時間を終わらせたくない。

しつこいと思われているかもしれないっていうのは重々承知で。

だけど、止められなくて。

浅海さんは優しいから、俺のやることを拒まないんだって思っていながらも、

彼女のそういうところに漬け込むようにして、迫って、甘えて。


あの日の帰り道、さすがにいきすぎたかと、反省してる最中だったから。

だから、彼女の方から誘ってもらえるなんて思ってもみない話だった。

今、並んで歩いている間も終始にやけそうで、必死に堪えている。

気持ち悪がられたくないし。

でも、こんな特別な彼女を目の前にしてニヤけるなっていう方が無理だと思う。

いつもより増して可愛い。
いや、いつも可愛いんだけど。

髪は普段よりもふわふわしているし。
巻いたのかな。可愛い。

彼女の、少しだけヒールの高い靴が、俺たちの身長差をわずかに埋めてくれていて。

いつもより、浅海さんが近い気がする。

……あぁダメだ。

自分の心臓が、うるさい。