遅い、いつになったら帰って来るんだ?
俺は机を指で叩きながら目の前に置いてあるスマホをジッと見つめる。時刻は夜の8時を回っているのに、息子が学校から帰って来ない。
高校生だから夜遊びをしているのだろうか?でも、ゲーセンもないこんな田舎で何をしているんだ?遅くなってもいつもなら連絡してくるはずなのに…。
俺がどうするべきかと悩んでいると、備え付けの電話が鳴った。けたたましく鳴る電話に不穏な気分になりつつ、俺は受話器を取り耳に当てる。

「もしもし?」
「も、もしもし。柳原くんのお宅ですか?」

電話の主は息子ではなく、若い女の声だった。