「伊織、本当に行くのか?」


「うん。お父様にたくさん心配かけたし、お手伝いもできてなかったから。」




落ち着いた黒のロングドレスに身を包む私

今日はこれからパーティーがある。



毎年行われるもので、格式が高く、様々な業界の方たちが参加する。



ウィッグの黒髪を菫さんに教えてもらった、私でもできるアレンジにしていき、アクセサリーをつける。


分厚く長い前髪は両サイドに少しずつバラして量を減らし、いい感じにセットする。

視界が広くなったため誤魔化しで細いフレームの眼鏡をかけた。


さすがに格式高いパーティーで貞子の髪型はまずいだろうと思って、試行錯誤した結果だ。





その間もお父様は、うーんなどと言いながら私が参加することを渋々了承してくれた。







たくさんの高級車が立ち並ぶ光景は圧巻だ。

場の空気感と人の多さに少し緊張しながらも、自分の男性恐怖症のところがある程度治っていることに安堵する。