高校3年生、最後の夏。



7月の始め。



3年4組。



放課後の教室。



なまぬるく、蒸し暑い空気が漂う。



エアコンの効きが悪いのは日常茶飯事のことだった。




教室の窓からは完成したばかりの新しい校舎の様子がうかがえる。




2週間後、全生徒や教師及び職員は新しい校舎へ移り。





そしてもうすぐ、この今使っている校舎の取り壊し工事が始まる予定だ。





そろそろ、もう帰らないといけない時間なのに。




暑くて、だるくて、俺は机の上で項垂れていた。




静寂な教室の中で静かに目を瞑り、耳を澄ませる。



……ん!?



何かの聞き間違いかな。




俺は体を少し起こし、薄く目を開く。




もう一度、耳を澄ませる。



あっ、やっぱり、何か聞こえたような気がした。



女の子のか細く笑う高い声が。