私と悠介の目線が一瞬かち合うと、手を離した。

プールサイドへ飛び乗り、走り出す。私は左へ、悠介は右へ。決して振り返らない。視線は常に先生の死体に向ける。

「悠介、右! 右へ避けろ! 」

健二君の声がする。私も瑠花と優愛の指示を待つ。

「環ちゃん! 今なら影はいないわ! 真っ直ぐ先生に向かって走って!」
「全速力だよ!」

優愛と瑠花の声が響く。影がいない今がチャンスだ!

渾身の力でダッシュする。その距離はどんどん縮む。

「環ちゃん! 止まって! 殺される!」

突然、桜が叫んだ。なんとか反応し、急ブレーキをかける。

「痛っ!」

胸と太股、そして目の下を切られ、血が出る。

あのまま進んでたら、体をバラバラにされていた。

なぜ…?
優愛と瑠花の指示には従ったはず…