星斗は広間の真ん中で茫然として立ち尽くしていた。


文夫もその場から離れようとしない。


「な……んで?」


星斗が文夫へ視線を向けてそう言った。


「俺は、死にたくない」


文夫が答える。


子鬼の1人が大きな金棒を引きずりながら星斗へ近づいて来た。


星斗の視線が文夫から子鬼へと移る。


自分がどうなる運命なのか、まだ理解できていない様子だ。


星斗は瞬きを繰り返して子鬼を見ている。


「ごめん」


文夫がそう言うと同時に、子鬼が金棒を振り上げ、そして星斗の頭へ向けて振り下ろしたのだった。