どうにかこうにか出された料理を食べきった俺たちはグッタリと倒れ込んでいた。


少しでも動いたら吐いてしまいそうだ。


鬼は食事をして満足したのか、椅子に座ったまま転寝を始めている。


子鬼たちも眠っていて、広間の中にはいびきが聞こえてきていた。


この様子ならしばらくは誰も動かないだろう。


そう考えて安堵した瞬間、ハッと気が付いた。


誰も動かない?


広間の中を見回す。


子鬼も鬼も残らず全員眠っているのだ。


これはチャンスだった。


二度と訪れる事はないかもしれないチャンス。


俺は重たい体を起こして綾を見た。


綾は青い顔をして目を閉じている。


「綾、起きてるか?」


小声で話しかけえると綾はすぐに目を開けた。


浩成とミヅキも起きているようだ。