ガチャン



真琴君がブレーカーを何やら触っていたら音を立てて電気がついた

「ついた」

「よかったー」

「台風の影響?」

「なのかな」


何事もなかったかのようにリビングに戻るその背中を追った

まだ少し熱を持った手をもう片方の手で押さえながら…



「すげーな」

リビングでテレビがつくかどうか確認していた真琴君が呟いた

「何が?」

「台風。かなりデカイらしい」

「まじか」

「まあいいか」

いいのか

「対策とかめんどくさいし」

きさま…

そこで無気力発動するでない


「俺も風呂入るわ」

テレビを切って部屋を出て行くその背中をだんまりと見つめる




なんかよく喋るようになったな

一週間前は必要以上に話しかけんなとか言ってたのに…

まあ一週間って7日もあるし


特に私達のようなずっと1人で生きてきた者同士は

境遇も近いし、心を開きやすかったのかもしれない


それでも

…思ったより嬉しい


この家で目覚めることに、少しずつ慣れてきたことが

私の日常に、彼がいることが


たったの一週間なのに…って思ったけど

そういえば私が、バスの定期のあの男の子に恋したのだってたったの一週間だったな


…時間なんてあんまり関係ないのかもしれない


最後のお皿を洗い終えて、ぐっと伸びをした