「遊びに行きましょう」

居間の隣の部屋の襖が開き、寝間着で寝起きの八橋さんが現れた。

雨戸は全て開け、洗濯物は終わった。きょとんとした顔で、八橋さんがこちらを見ている。

「……え? ……はい」
「どこか行きたいところありますか?」
「行きたい、ところ」

私は湯呑みにお茶を注ぐ。

自動的にその前へ腰をおろした八橋さんは、寝起きの頭で考えている。

「これと言って、観光出来る場所も無いんですけど」
「向日葵とか、」
「向日葵?」
「咲いてる場所、ありますかね」

お茶を飲む八橋さん。