沈黙があった。
八橋さんがスプーンを置いた音で、現実が戻ってくる。

「……いたら迷惑ですか?」

静かに尋ねられた。
胸が苦しい。なんでこんなに苦しいのだろう。
ああ、まだ好きだからか、と答えに至る。

「迷惑というか……」
「あ、そういえば、正武さんは今恋人がいるんですか?」

さらりと何でもないことのように質問される。

……なにそれ。
自分は婚約者がいるけど、お前はどうなんだって言いたいのか。

それとも、まだいないだろうから来ても大丈夫だと思われているのか。

かちんときて、何故か泣きたくなって、口を開く。