もうすぐ夏休みが始まろうとする七月。多くの生徒が夏休みをどう過ごすか楽しみにしていた。もちろん遊星(ゆうせい)もだ。

「夏休み、みんなで泊まってゲーム大会でもしようぜ!」

「楽しそうだな!」

そんなことを遊星が友達と話していると、遊星の目の前をうつむきながら歩く男子生徒が歩いていく。

「先帰ってて!」

遊星はそう友達に言い、男子生徒の後を追う。男子生徒は屋上に向かった。

「隆也(たかや)!!」

屋上に上がった男子生徒に遊星が声をかけると、隆也は「また君?」と鬱陶しげに振り向く。

「ていうか、僕たち友達じゃないのに名前でなんて……」

ブツブツと呟く隆也に、「でも同い年でクラスメートじゃん!」と遊星は言う。隆也はため息をつきながら屋上に座る。遊星も隣に座った。

「こんな暑いのによく屋上行こうってなったね。まあ、俺ら女子じゃないから日焼けとか気にしなくていいけど」

遊星は笑うが、隆也は何も言わない。二人はタイプが正反対だ。