「ゆず、あんた、男運ないタイプらしいよ」


口に運んでいた卵焼きを落としかけたのは、あたしのせいじゃないと思う。


「何、急に」

「この学校の図書館にある、超当たるって噂の占い本。知ってる?」

「知らない」


これなんだけど。言いながら、朋実(ともみ)がくちびるの端をかいた。


尖った爪。水色に白のドット、派手なネイル。


そんな爪でかいたらさ、傷にならない?まあ、言わないけども。


「てか、本?スマホで手軽に、とかじゃなくて?」

「本。本だからこそ、昔からあるからこそ、当たるらしいよ 」

「へぇ」


実際のところ、そんなに興味がなかった。


いきなり男運ないよともちかけられた話題、身を乗り出して聞くほうがあたしらしくない。