「…ねえ、もっとそっち歩いてってば」

「正当な理由を言ってくれたらいいよ」

「肩が当たる。歩きにくい。目立つ。これ以上の正当な理由がある?」

「はいぜんぶ却下ー。トモダチってのはアピールしてなんぼだから」

「性悪。クズ。寝起き悪い。顔だけ男」

「言っとけ、冷血女」





学年問わず生徒たちにじろじろ見られるのはもう慣れてしまった。


片岡くんにキスをされた次の日から、彼は意図的に家を出る時間を合わせるようになり、必然と一緒に登校する流れが出来上がっていた。