「…スマホ忘れた。ごめん、取ってくるから片岡くん先教室戻ってていいよ」

「わかった」




朝のホームルームが始まる10分前。


ちょっとした仕事を終わらせ、生徒会室から教室に向かう途中で、ポケットにスマホの存在がないことを思いした。

さっき使ったときにそのまま机に置いてきちゃったのかもしれない。



もう階段を下りていたし教室に行くだけだったので、待っててもらう必要もないと思い片岡くんにそう言うと、彼は短く返事をして再び階段を下りていった。



反対に、私は階段を上り生徒会室を目指す。


ホームルーム前の時間ということもあり、人の気配はほとんどなかった。