「あ、そういえば」

「ん?」

「佳都(けいと)、再来週からママの知り合いの家に預かってもらうことになったから」



夕飯が並べられたテーブルを囲み、「いただきます」と言って白米を口に運ぼうとしたとき、お母さんは思いだしたように言った。




「……ん?」

「ホントは寂しいのかと思って。ママの優しさっていうか?」

「っていうか?じゃないから。可愛くいっても意味わかんないから」



知り合いの家に預かってもらうことになった?
再来週から?しかももう決定事項?

なにがどうなったらそんなことになるんだ。
全然、理解が追い付かない。


そんな私を差し置いてお母さんはサラダに口をつける。
……いや、なに呑気に食べてんの お母さん。



「詳しく説明してよお母さん」

「えー、だから、再来週からママの知り合いの家に…」

「それ聞いた」

「寂しがり屋の娘に対するママなりの優しさ?」

「ちがくて、…今更じゃん。寂しいとか、もう平気だよ」