(男性40才、派遣社員)

暑い。

寝ている間にエアコンが止まったようだ。

そんな設定にしていたかなぁと思いながら、スマホで時間を確認する。

午前4時。なるほど、外が少し明るくなってきている。

もう一眠りしよう。

そう思いエアコンのリモコンを探す。

外がうすら明るいから物の輪郭が見える。

これだろう。長方形のものを触……。

ぬるっとした。何かが手に付いている。液体?

外が明るくなってきたせいで手についているものの色がわかった。

赤かった。

電気をつけようと立ち上がろうとして…体が動かなくなった。

手にはぬるぬるとした感触が残り、目は開けたまま閉じない。

そして、目線だけが自然とリモコンのある上、天井の方に向かっていく。

怖い。怖い。怖い。ぶぁと冷や汗が出る。

天井に目がいくと…。

そこには何もなかった。

ふっと身体の力が抜けてベッドに崩れ落ちた。

意識もそこで途切れた。


そして、その日からエアコンを使わなくなった。部屋が常に冷気を帯びているからだ。

部屋を出る気はない。