魔王がうちに来てから、三日が経ちました。


最初は村の人達と仲良く出来るか心配だったけれど、案外早くにこのドイナーカ村に溶け込む事が出来たようです。


「おはようございます。今日も良い天気ね。歩くのが楽しくて楽しくて。健康の為に1日10kmは歩いているのよ」


魔王に膝を治して(?)もらったメアリーおばあちゃんが、パンを買いに店にやって来ました。


「ふはははははっ! メアリーよ、貴様は死ぬまでそうやって歩き続けるが良い! さて、今日は何にする! コーンブレッドか、バターロールか! それとも……クロワッサンにするか!! ワシのオススメはレーズンパンだぞ!」


いつものように、魔王が高笑いです。


「そうねえ、じゃあ今日はレーズンパンを二つと、ミルクパンを一つ頂こうかしら」


そう言って、満面の笑みでメアリーおばあちゃんが15Gをお財布から取り出して、魔王に手渡しました。


「ふはははははっ! お買い上げありがとうございます! サービスで、ミネラルたっぷりのお水も付けてやろうではないか! とくと味わうが良いわ!」


ふふっ、私は知っています。


メアリーおばあちゃんが毎日パンを買いに来るようになってから、喉に詰まらせるといけないと、朝早くに起きてどこかに水を汲みに行っているのを。