2人の男性から、告白された私は、ただの料理人だ。

一方は仕事の同僚、もう一方はこの国の皇帝陛下。

比べる事もない。

私が幸せになれるのは、同僚のパウリだと思うのに。

カイの事が、頭から離れられない。


「涼花!」

「ん?レーナ、何?」

「そのクリーム、何に使うの?」

「えっ?」

手元を見ると、もうボールいっぱいに、生クリームが泡だっていた。

「あちゃー。何とか使わないと。」

「今日のデザートは、生クリーム使わないよ?」

「そこを何とかするのが、料理人っしょ!」

「料理人っしょ?」

最近レーナは、私の日本語を真似してくる。

しかも、変な部分だけ。


そしてパウリはと言うと、あれ以来、飲みにも誘わない。

仕事中も余計な事言わなくなった。