それから、なんとなくだけど、皆の態度が変わった気がした。

「ああ、涼花。包丁は持たなくていいよ。」

テームさんが、私の元にやってきた。

「でも、包丁持たないと、何も切れませんよ。」

「そうだな。スープの味付けをお願いしようかな。」

「はい。」


来る日も来る日も、包丁は使わせて貰えなかった。

スープや焼き料理だけ。

もしかして私、カイと一緒に遊んでると思われた?

そう思われても仕方ないけれど、このままずっと包丁を握れないなんて嫌だ!


ある日私は、テームさんに話を聞いた。

「テームさん。私が包丁を握れない理由は、何なのでしょうか。」

「えっ?」

テームさんは私を壁側の方に連れていくと、こんな事を言った。

「未来の王妃様に、包丁は持たせられないよ。」

「未来の王妃?」

「結婚するんだろう?皇帝陛下と。」