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あれだけ慎重派で現実主義者な私だったのに、待っていたのは描いてたものとは真逆の未来だ。。現在、副社長とふたりきりで過ごしているという現実が信じられない。

会社終わり、アネッロで待ち合わせをして一緒に夕食を食べて、それから副社長が運転する車でドライブに出掛けた。

今は夜景スポットとして有名な海岸の駐車場に車を停めて、砂浜へと降りるところだ。周りを見渡せば、私たちの他にもカップルが何組かいて、賑わっている。

「蜜葉の今日の会社での反応が可愛すぎて、思わず抱きしめたくなってしまったよ」

「……ああいうのは困ります。打ち合わせに来たと思ったらいきなり話しかけてくるんですもん。びっくりするじゃないですか!」

副社長が楽しげに笑いながら今日、会社であった一幕に触れて私を揶揄う。戸惑う私を見て絶対に楽しんでいるに違いない。