一緒にお出かけした日から数日後。

なんと、お仕事の帰りにハルバート様は可愛らしい子犬と帰宅した。

その子は、我が家でも昔飼っていた牧羊犬の子犬であった。

馬車から降りてくると、玄関で出迎えに出ていた私の方に駆け寄ってきた。

可愛らしい、その姿に自然と頬が緩んでしまう。

「お帰りなさいませ、ハルバート様。この子はどうしたのですか?」

飛び出した子犬の後に続いて降りてきたハルバート様に私は尋ねた。

すると、私の足元に寄ってきて楽しそうにしっぽを振る子犬を見つつハルバート様は私に言った。


「この間約束した、我が家に迎える子犬です。シャルロッテが是非名前をつけてあげなさい。この子は今日から、我が家の子ですよ」


その言葉に私は驚きつつ、足元の子を抱き上げた。

「可愛いこと。今日から我が家の子なのね」

私が抱き上げると、その子は愛想もよく、怖がることもなく人懐っこい。

明るい茶色の毛に白の混じる牧羊犬。

それは昔自分の飼っていた子にそっくり。

私はその子にマロンと名付けていた。
この子も、同じ女の子。
長く生きたあの子と同じように、長生きしてくれることを願って。

「マロンでどうでしょう? 私の昔飼っていた子にそっくりなんです。その子も女の子でマロンと呼んでいました」

私の名付けに、ハルバート様は一つうなづいて同意を示してくれた。

「マロン、いい名前だな。今日からいい子にのびのびと過ごすといい」

頭を撫でられたマロンはご機嫌にしっぽを振っていたのだった。