「よし、頑張ろう!」

私は気合いを入れてパソコンに向かった。

蓮翔と再会してから、仕事に集中出来なくなっていた。蓮翔には、仕事をキチッとこなす女性と思われたい。高校の時より成長した私を見てもらいたい。

今度蓮翔に会うのは3日後。

それまでに出来ることはやっておかないと……。

集中。集中。

…………なのに、蓮翔の顔がちらつく。

何で今頃、再会なんかするの。

私は、心の中にいる蓮翔で充分だったのに……。

私の心の中の蓮翔は、高校生のままで止まっていた。なのに、今の蓮翔が上書きされてしまった。大人になってあの時よりも、色気が増してまた私をドキドキさせる。
高校生の時から、そうだったように、今はもっとモテるんだろうなぁ……。彼女がいないはずがない。きっと素敵な彼女がいるはず。

「あ~っ」

なんかイライラする~!!私は頭をかいた。

「何、苛ついてるの?秋帆にしては珍しいわね」

らんさんが私のところにやって来た。

「そ、そうですか?いつものことだと思いますよ。私、喜怒哀楽が激しいので……」

「そうだけど、今日は一段とひどいわよ」

「あ~、そこはそんなことないよとか言って、少しは否定してくださいよ~」

「だってほんとのことだもん。ふふっ」

「そういうところがらんさんらしくて、私は好きですけど……」

「ありがとう。ところで、どうなった?」

「はい、2人ともOKもらいました。対談は3日後。颯さんとあつしさんにも伝えてあります」

「さすが段取りがいいわね。期待してるわ」

「ありがとうございます」

らんさんは、忙しいのですぐに自分のデスクに戻った。

私は、対談の日のスケジュールを考え、秘書の滝野さんと花元さんのマネージャーに詳細を送った。

蓮翔に動揺ばかりしてられない。


それに蓮翔が私のことなんて覚えているはずがない。だから、私も知らないふりをしていればいいのだ。そんなことをするくらいへっちゃらだ。大丈夫、私ならできる。私は、自分を奮い立たせた。