蓮翔は、私に何の話があるのだろう?

そのことが気になって最後の方は、あまり覚えていない。

2次会は、明日が早いので行くことはやめた。蓮翔の話も気になるし、それを聞いてから2次会に行っても楽しめないと思った。

式が終わり、蓮翔の方に目を向けると、まだ話している最中だった。

「私に話があるって言ってたのに……」

もう帰ろうかなぁ。

私は荷物を持ってタクシー乗り場へ向かった。

入り口付近では、蓮翔が女性の人と笑顔で話していた。かなりの美人だ。

「何なの?話があるって、私にあの美人さんとのツーショットを見せびらかすことだったの?」

なんかミョーに腹が立つ。

私が蓮翔と別れても好きでいると察したから?完全に諦めろと?

諦めてやるわよ!
蓮翔になんか忘れてやるわよ!

私は、わざと2人の前を余裕な顔で通り過ぎた。

何なの?悪気もなく、平然としてて。

「あ~、もうほんと何様なの?」

私は周りに人がいるのも気にせず叫んだ。

タクシー乗り場は、混んでいてなかなか順番が回ってこない。

早くこの場から立ち去りたいのに……。



あと少しで私の順番だ。早く家に帰ってゆっくりしたい。そう思っていたのに……。

「話があるって言っただろ?」

息を切らせながら蓮翔が走ってきた。

「知らない」

私はさっきの光景が浮かんで、素っ気ない態度をとった。

「お前、さっき話しただろっ」

明らかに怒っているのがわかった。

私は無視してタクシーの順番を待った。

「聞いてるのか?」

「……」

「行くぞっ」

持っていた荷物を勝手に取り、片方の手は私の手を握って歩き出した。

「行くなんて言ってない!!」

「……」

今度は、蓮翔が無視した。

こうなったら、言うことを聞かない。それは、高校の時と何も変わらなかった。

蓮翔の車に乗せられると、何も言わずどこがへ向かった。

「どこへ向かってるの?」

「……」

「何でそんなに怒ってるの?怒りたいのはこっちなんだけど?」

「……」

そんなに怒ってるの?
私は何も言わず、窓の外を眺めた。



「……着いたぞ」

「……ここどこ?」

マンションの地下駐車場に車が止まった。

「俺ん家」

「は~?何で私が蓮翔の家に来ないと行けないの?」

「家の方がゆっくり話せると思ったんだよ。いいから、早く降りろっ」

ホントいつも強引なんだから。