「咲良ちゃん、お疲れ様」

「あ……佐伯くん。お疲れさま」


 大学の講義が終わり、帰る支度をしていれば講義室に佐伯くんが入ってきた。迎えに来てくれる彼は、いつもの黒のリュックを背負っている。白のパーカーでジーパン、紺色の有名ブランドのスニーカーを履いていて毎度見てもかっこよく思う。


「咲良ちゃん?」


 少し見惚れていると声をかけられて「おーい」と顔の近くで言われてしまった。だからすぐに「ごめん、ボーっとしてた」と謝る。


「咲良ちゃんこれから時間ある?」

「うん……バイトもないしあるけど」

「じゃあさ! 今からどこか行かない?」


 これはデートのお誘いだよね?


「うん、行く……」

「良かった、じゃあここ行こうよ」


 拓海くんはスマホ画面を見せる。そこは今、女の子の間で話題になっている人気店だ。それに大学の最寄駅の近くにある。


「でも、ここって予約制じゃないの?」

「予約したんだよ」

「えっ! すごい嬉しい〜」


 なんだかもうワクワクしてきた。行ってみたかったから本当に嬉しい。


「さ! 行こ?」


 拓海くんと手を繋ぐと講義室を出て、最寄りの駅へ向かう。お店に着き、ドアを開ければウエイターさんが近づいてくる。
 佐伯くんが名乗るとすぐに案内された。