新年の舞踏会の夜が更けていく。

 ギシリ、俺の頭上のベットが揺れる。ベルンが寝返りを打ったのだ。

 太陽の騎士フェルゼンなんて呼ばれている俺だけど、実際のところはそんなご立派なもんじゃない。
 好きな女一人に告白すらできない、ただのヘタレだ。

 俺は二段ベッドの下で、小さくため息をついた。ベッドの二階に好きな女が寝ているのだ。降ってくる気配だけで動揺する小さな心。


 俺とベルンが出会った時、俺たちはたったの五歳だった。
 まさかあんな子がいるとは思わなかった。あの時の衝撃を今でも忘れない。
 きっとあれが、俺の初恋だったのだ。