レーゲンボーゲン王国の王都ノイエ・ミルヒシュトラーゼのコロッセオで、新しい年と社交シーズンの幕開けを告げる剣舞を舞う。
 

 「「フローエス ノイエス ヤール!!」」

 二人で声をそろえて、古い祝詞(のりと)を唱和する。これで、新年を告げる演武は終了だ。



 私は軽く頭を振った。一つに結んだ髪が跳ねる。
 演武相手の幼馴染フェルゼンを見れば、炎のように赤い髪をかきあげていた。

 お嬢様方の歓声の原因はやっぱこれだよね……。

 いつものことながらため息が漏れそうだ。
 フェルゼンはそんな私を見ると、満面の笑みで微笑んだ。
 私たちはお互いを讃えつつ、肩を組んだ。
 歓声がドっと大きくなった。