「寒い、フェルゼン」

 点呼の終わった校庭で、しばしの休息時間があった。あらたまった勅令があるとかで、騎士団長の登場を待っているのだ。
 私はかじかむ手をフェルゼンの脇の間に挟んで暖を取る。
 フェルゼンは、炎の属性だからか体温が高い。対する私は氷だから、どうも冷えやすいのだ。なので、子供の頃からフェルゼンで暖を取るのが習慣になっていた。

「しょーがねーなー」

 フェルゼンはそう言いながらも、ギュッと脇を閉めて温めてくれる。

「はー……あったかい……フェルゼン最高……」

 うっとりとため息をつけば、シュテルが呆れたように笑う。

「敬礼!」

 号令がかかり、慌ててビシリと敬礼をする。

 壇上に騎士団長が現れ勅令を読む。