「ユメちゃんは、おれのことどう思ってる?」


放課後の、わたしたちしかいない教室。窓から差し込んだ光が、前の席に座ってこちらを向いている田中の髪を透かす。


「変なやつ」


そんな幻想的な色を前にしても、わたしは動じない。


「変なやつかぁ」


彼は「ははは」と笑ったけれど、笑いどころなんてなかったと思う。


「おれはね、ユメちゃんのこと、すきだよ」

「……うるさいよ」


手を止め、彼の瞳にうつるわたしらしき像を見つめた。


「告白なんだけど」

「知ってるけど」

「なんでうるさいって言うの」

「田中の言葉、信じられないから」

「ふぅん」


興味なさげに、小さくこぼす。そういうとこだよ、そういうとこ。