ユマちゃんから聞いた話は衝撃的な内容だった。


「じゃあ、お腹の子供は……」


ナオヤの言葉にユマちゃんは目に涙をためて頷いた。


あたしはグッと奥歯を噛みしめて怒りを押し込める。


平山先生がそこまで最低な人間だとは思っていなかった。


「ごめん……本当にごめんユマ。辛かったのに、俺、なにも知らなくて……!」


ナオヤはユマの体を抱きしめて泣き崩れた。


ユマちゃんは自分から平山先生に身をゆだねたわけじゃないから、魂が汚れていなかったのだ。


「あたし、平山先生のところへ行ってくる」


怒りに急かされるように、勢いよく立ちあがった。


「やめろよ陽菜。あいつは本当に危ないヤツだ!」


ナオヤが慌ててあたしを引きとめようとする。


ユマちゃんと同じように、危険な目に逢うかもしれない。


それはわかっていたけれど、あたしなら平山先生を止めることができるかもしれないのだ。


あたしはポケットに手を入れて数珠をはめた。


「大丈夫。なにかあったらすぐに連絡するから」


あたしは早口にそう言い、ユマちゃんの家を出たのだった。