あのあと、ほとんど会話を交わさずそれぞれの家に帰り、私は1人考えていた。



何で、笑顔なのに、寺内先生が消えちゃいそうに見えたんだろう。



何か、辛いことでも思い出したのかな・・・。



でも、それだけじゃない気がする。



もっと深い何か・・・言うなれば『死にたい』っていう叫びみたいなものが、表情から読み取れるくらいには出ていたような。



そこまで思い詰めることがあったのかな・・・。



そういえば、前に家族の会話になったとき、寂しそうな表情で私の話を聞いてたような・・・。



もしかして、家族に何かあったのかな?



自分の家族のことは、頑なに話そうとしなかったし・・・。



虐待とか、育児放棄とか、何か複雑な事情を抱えて育ったのかも・・・。



だからって、あの儚い笑みがあそこで見られたとは言い難いしなあ・・・。



自分って、寺内先生のこと、表面的なことしか知らないもんね・・・。



ぐるぐると悩みながらも、寺内先生の力になりたいって思いだけは、私の中で芯として存在し続けた。



ほとんど何もわからなかったけど・・・。