一方の葵は、蒼と会ってから落ち着かない日々を過ごしている。

思いもしなかった真剣な告白。

葵は相手を知らなかったが、世間では今をときめくアイドルグループとして人気絶頂の人物だ。

まさか、あの雨の日の事故で人助けをしたら、こんな事になるだなんて…

目が合った瞬間に感じた吸い込まれる感覚。ただ、男性が苦手だった事もありあの時は深く考えなかった。

でも、久しぶりに男性と向き合って会話しても、恐怖はなかった。

ストーカー事件以来、極力男性と関わらない様に、目立たない様にしてきたのだ。それでも、会社内で面識のある男性でも急に声を掛けられたら、ビクッとしてしまう。

ましてや、あの時は咄嗟の事に勝手に体が動いたといえど、蒼の手を引いて助け、更には家まで送ってもらったのだ。

真剣な蒼の様子にあの場で断る事が出来なかったのも確かだが、葵の心のどこかで、蒼の今後を見てみたいと思いも生まれていた。

誰にでも話せることではないが、葵にはキャパオーバーだ。信頼できる真子の意見を聞きたい…