嫌な予感というものは、大抵当たっている。

それはもしかすると、「こうなったらどうしよう」という負の感情が、負の出来事をおびき寄せてしまうからかもしれない。

だけど、いったん転落してしまえば、何ごともなかなかいいふうには転がらない。

十六年と少し生きてきた中で、私は、そのことをすでに学んでいた。

美織と杏との関係が目に見えて変わってきたのは、ユーレイ部員前提で文芸部に入部した、翌日頃からだった。

「杏、体育館、早く行こ!」

廊下から美織が叫べば、体操服への着替えを終えた杏が、美織のもとへ駆けて行く。

「そういえばさ、次のクラスマッチ、何にする? 美織ってバスケ部だからバスケは出ちゃダメなんでしょ?」

「そうなの。だから、バレーにしようって思ってる。杏は?」

「わたしもバレー! 一緒にがんばろ!」

ふたりの楽しそうな声が、廊下の向こうへと遠ざかっていった。

ザワザワとした教室で私はひとり、黙々と体操服に着替えていた。

胸の奥が、ズドンと重い。

体育館にひとりで行こうが、誰かと行こうが、大した問題じゃないことは分かっている。

だけど私は、ひとりだけこの世界からはみ出してしまったような孤独を感じていた。