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出会いは一昨年の春だった。


入社したての私に、色々教えてくれたのが絢くんで。


「分からない事があったらなんでも聞いて。」

同期の女の子も皆、絢くんに目を奪われていたと思う。



「でもさぁ、水瀬さんってたまにすっごい美人な女の人と一緒に居るって噂だよ?」

同期で今は遠い部署にいる理彩が、残念そうにそう呟いた。


「彼女持ちかぁ〜…そりゃそうだよねぇ。」


そうやって諦めていく同期の子達がいる中で、私は一目惚れから抜け出せずにいた。





「へぇ…。で、その子が───」

「…玲華、ちょっと。」



たまたま見てしまった、仲睦まじく話すふたり。

その時はまだ話したこともなかった玲華の髪についた埃を取ってあげていたのが絢くんだった。